習慣トラッカーの使い方(と、効果がある理由)

習慣トラッカーに効果があるのは、セルフモニタリングを自然にできるようにしてくれるからです。そして進み具合を記録することは、目標達成を確かに後押しします。研究でわかっていること、上手な始め方、挫折につながりやすい失敗を紹介します。

注目の数字

  • 138件の研究進み具合のモニタリングが目標達成を促すことを示したメタ分析のランダム化研究(N = 19,951)1
  • 0.42 対 0.26セルフモニタリングを別の自己調整テクニックと組み合わせた介入と、それ以外の介入の効果量3
  • 18〜254日参加者が習慣の自動性のプラトーに達するまでにかかった期間の幅4

習慣トラッカーに効果はある?

はい、ただし条件つきです。習慣トラッカーが習慣を代わりにつくってくれるわけではありません。けれども、行動を変える方法としてもっともよく研究されているもののひとつ、セルフモニタリングを毎日ラクに続けられるようにしてくれます。「やったつもり」ではなく実際にやったことが見えると、気づかないうちにずるずる離れていくことがぐっと難しくなります。

もっとも強い根拠は、Psychological Bulletinに掲載された2016年のメタ分析です。研究者は、目標の進み具合をモニタリングするよう促す介入群と対照群に参加者をランダムに割り付けた138件の研究(N = 19,951)を統合しました。1平均すると、こうした介入は進み具合をモニタリングする頻度を高め(d+ = 1.98)、目標達成を改善しました(d+ = 0.40)。1モニタリングの頻度が高いほど成果も上がっており、モニタリング頻度の変化が目標達成への効果を媒介していました。1

トラッカーを選ぶうえで大事なポイントが2つあります。モニタリングの効果は、情報を実際に記録した場合と、結果を報告したり公開したりした場合に大きくなりました。1つまり、頭の中で数えるより書き留めるほうが効果的です。

そのほかの研究でわかっていること

減量の研究でも同じような結論が出ています。1993年から2009年に発表された22件の研究を対象にしたシステマティックレビューでは、(食事・運動・体重の)セルフモニタリングと減量との間に有意な関連が、研究を通して一貫して見られました。2ただし著者らは、自己申告に頼っていることや、対象者の多くが白人女性だったことなど方法上の限界から、エビデンスのレベルは弱いと慎重に述べています。2興味深いことに、もっともよく使われていた方法は紙の日誌でした。2

記録は、それだけで終わらせないほうが効果的です。健康的な食事と身体活動の介入122件(N = 44,747)を分析したメタ回帰では、研究間の差をもっともよく説明したのはセルフモニタリングでした。3セルフモニタリングを、目標設定や目標の見直しなど制御理論に基づく別のテクニックと少なくともひとつ組み合わせた介入は、それ以外より有意に効果的でした(効果量0.42対0.26)。3

習慣トラッカーを上手に使うコツ

トラッカーの価値は、そこに入れる習慣しだいです。以下のポイントは、上の研究と、実際によくつまずく点から導いたものです。

  1. 習慣は少なめに始める。2つか3つで十分です。行が増えるほどチェックする項目が増え、リストが埋まりすぎると、そもそも見なくなりがちです。
  2. 習慣を具体的にする。「もっと運動する」は正直にチェックしにくいもの。「昼食後に20分歩く」なら、できたかどうかがはっきりします。1日のどこかのタイミングと結びつけましょう。後で紹介する習慣形成の研究でも、参加者は「朝食のあと」のように同じ文脈で行う行動を選んでいました。4
  3. 目に入る場所に置く。モニタリングは、実際に行われてはじめて効果があります。冷蔵庫、机の上、スマホのホーム画面など、目に入る場所にトラッカーを置きましょう。
  4. すぐに記録する。週末にまとめて思い出しながらではなく、終わったらすぐにチェックします。
  5. 週に1回ふり返る。今日だけでなく、パターンを見ましょう。どの曜日にできなかった?習慣が大きすぎない?目標を調整することこそ、介入をより効果的にした「モニタリングと別のテクニックの組み合わせ」の部分です。3

よくある失敗(と、代わりにすべきこと)

一度にたくさんの習慣を記録する

初日のやる気で習慣を10個並べてしまうことはよくあります。2週目にはトラッカーが空欄だらけになり、空欄は失敗のように感じられます。小さく始めて、今の習慣がラクになってから新しい習慣を足しましょう。

ストリークを「全部か、ゼロか」で考える

ストリークは途切れるまではやる気の源です。途切れたとたん「もう台無しだ」と感じてやめてしまう人がたくさんいます。ここで研究は安心材料をくれます。毎日の行動を12週間繰り返した96人のボランティアの研究では、行動の機会を1回逃しても習慣形成のプロセスに大きな影響はありませんでした。41日休むのは小さなつまずきで、リセットではありません。

決まった日数で習慣になると期待する

同じ研究で、参加者が自動性のプラトーの95%に達するまでにかかった期間は18日から254日まで幅がありました。4魔法の数字はありません。習慣が自動的に感じられるまで記録を続け、そのあとで記録を続けるかどうかを決めましょう。

記録するだけで見返さない

チェックをつけるだけで見返さないと、トラッカーはただの作業になってしまいます。週に5分見返すことで、記録が改善につながります。

紙の習慣トラッカーとアプリ、どっちがいい?

どちらも効果があります。いちばん大切なのは、進み具合を実際に記録し、それを続けることです。1毎日本当に開く形式を選びましょう。

紙(手帳・バレットジャーナル、印刷シート)アプリ
向いている人書くのが好きで、すでにノートを使っている人いつもスマホを持ち歩いている人
リマインダーなし。見ることを自分で覚えておく必要あり好きな時刻に通知
ふり返り1か月分をひと目で見やすいストリークと統計が自動で出る
柔軟さ自由にカスタマイズできるが、毎月書き直しが必要「週3回」などのスケジュールにも自動で対応
弱点家に置き忘れやすいスマホで気が散りやすい。アカウントが必要なアプリもある

アプリを選ぶなら、ワンタップでチェックインできること、記録が目に入り続けるホーム画面ウィジェットがあること、そして調子の悪い日を責めずに許してくれるストリークがあることを確認しましょう。

今日、習慣トラッカーを始めよう

10分あればできます。

  1. 今の自分にとって大切な習慣を1〜3つ選ぶ。
  2. それぞれを具体的に、1日のタイミングと結びつけて書き直す:「朝、お茶をいれたら、本を5ページ読む」。
  3. トラッカーを選ぶ:冷蔵庫に貼る紙でも、ウィジェットのあるアプリでもOK。
  4. 週1回のふり返りをカレンダーに入れる。たとえば日曜の夜。
  5. 休んだ日のあとにどうするかを先に決めておく:翌日にまた始めるだけ。

よくある質問

習慣トラッカーは本当に効果がありますか?

研究からは役立つことがうかがえます。138件のランダム化研究のメタ分析では、進み具合のモニタリングを増やす介入が目標達成も改善しており、特に進み具合を実際に記録した場合に効果が大きくなりました。

一度にいくつの習慣を記録すればいいですか?

2つか3つから始めましょう。今の習慣がラクになってから増やせば、トラッカーは空欄のリストではなく、見返したくなるものであり続けます。

1日休んだらどうなりますか?

ほとんど影響はありません。96人のボランティアの研究では、行動の機会を1回逃しても習慣形成に大きな影響はありませんでした。翌日にまた元のペースに戻りましょう。

紙の習慣トラッカーとアプリ、どちらがいいですか?

どちらかがはっきり優れているわけではありません。毎日目にして更新できるほうを選びましょう。ノート好きなら紙、リマインダーやウィジェット、自動の統計がほしいならアプリが向いています。

出典

この記事の数字はすべて以下の研究に基づいています。本文の番号をタップすると出典に移動します。

  1. Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229. doi.org/10.1037/bul0000025
  2. Burke, L. E., Wang, J., & Sevick, M. A. (2011). Self-monitoring in weight loss: A systematic review of the literature. Journal of the American Dietetic Association, 111(1), 92–102. doi.org/10.1016/j.jada.2010.10.008
  3. Michie, S., Abraham, C., Whittington, C., McAteer, J., & Gupta, S. (2009). Effective techniques in healthy eating and physical activity interventions: A meta-regression. Health Psychology, 28(6), 690–701. doi.org/10.1037/a0016136
  4. Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. doi.org/10.1002/ejsp.674

この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的助言ではありません。

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